
宮崎さん(仮名)20歳代、歯科衛生士歴4年、訪問歯科歴1年。
若手ながらにして、自分の“好き”を仕事にした宮崎さん。
大阪市在住の宮崎さんは、医療法人海真会おおしまデンタルクリニックで、グループ会社の株式会社BISCUSSが運営する住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅を中心に活躍してくれいる歯科衛生士です。
彼女が語る、“笑顔の引き出し方”と“信頼の築き方”について、インタビューさせていただきました。
最初は、“訪問=ハードルが高い”って思ってた

小さい頃から、おばあちゃん子だったんです。高齢者と話すのが大好きで、それがきっかけで訪問歯科を選びました。
そんな宮崎さんですが、学生時代の実習では外来ばかりを経験し、卒業後も最初は外来勤務を想定していたとのこと。

でも、たまたま訪問歯科の見学に行く機会があって。実際に見たら、“患者さんとこんなにゆっくり関われるんだ”って感動しました。
施設の中で、患者さんに優しく声をかけながら、ゆったりとケアを行う先輩たちの姿が印象的で、最終的には「ここで働きたい」と思ったそうです。
話しかける勇気が、信頼の第一歩

最初は、話しかけても返事がなかったり、緊張で会話が続かなかったりして…すごく落ち込んだ時期もありました。
それでも、“話すことをやめなかった”と話されていました。

毎回、“今日は天気いいですね”“髪型変えました?”って、何気ない一言を続けてたら、だんだん笑顔を見せてくれるようになったんです。
今では、訪問するたびに「待ってたで~!」と声をかけられることも増えてきたそうです。
ケアの時間”が“楽しみの時間”になるように
口腔ケア=義務、という雰囲気にならないよう、宮崎さんはあえて“会話”の比重を大切にしているようです。

もちろん丁寧にケアはします。でも、それだけじゃなくて“その時間が楽しみになるように”という気持ちでいます。
患者さんに好きな話題を聞いたり、昔の思い出を一緒に振り返ったり。そんなやり取りの中で自然と心が通い合う。

“若い人と喋るのが一番の刺激やわ”って言ってもらえた時は、すごく嬉しかったです。
“若さ”は“強み”になる

年配の方って、若い人の存在自体を喜んでくれることが多いんです。
宮崎さんは、自分の年齢を「未熟さ」ではなく「親しみやすさ」として捉えていると話されていました。

“どこの学校出たん?”“若いのに偉いなぁ”って、孫みたいに接してくれる方もいて(笑)
距離が近くなることで、患者さんが“素”を見せてくれるようになる。それが、より質の高いケアにつながると最近では思うようになったそうです。
チームに見守られながら少しずつ成長中
訪問の現場は、常に一人というわけではない、チームの存在が大きな支えとなっていると感じ始めたとのこと。

最初の頃は、わからないことがあったらすぐLINEで先輩に聞いてました。みんな忙しいのに、ちゃんと返してくれるんです。
今では、後輩のフォローに回ることも。伝える側になって、改めて“伝え方”の大切さも実感しているそうです。
高齢者が好き”という気持ちを大事にしたい

この仕事を続けてる理由って、やっぱり“高齢者の方と関わるのが好き”という気持ちです。
技術や知識も大切。でも、宮崎さんにとっては「人としてのつながり」がこの仕事の原動力になっているのかもしれません。

誰かの暮らしの中に、私がいる。そのことが嬉しいんです。
これから訪問歯科衛生士を目指す人に一言アドバイスをと伺ってみました。

“人が好き”“高齢者が好き”っていう気持ちがある人には、訪問歯科は本当に向いてると思います。最初は緊張するけど、大丈夫。だんだん、自分の“居場所”になりますよ。
“好き”という感情が、仕事になる。
宮崎さんの姿から、そんなあたたかさが伝わってきたインタビューでした。